物価高騰のわりに賃金は上がらない毎日に辟易しているのではないでしょうか?
実際、200%のエネルギーを注いで仕事をしても1.0%しか賃金が上がらず、2.0%物価が上昇したとしたら、トータルで101.0%の損をしている計算になります。
2023年の物価上昇率は3.1%でした。
賃金は3.1%以上、上がったでしょうか……。
「頑張れば報われる」と鞭打たれ、
歯をくいしばって耐えられた懐かしい戦後昭和。
あの頃から時代は変わりました。
もう精神論は通用しません。
令和は、頑張らなくても報われる方法を選択できる時代です。
例えば、FXや投資信託。
世界の動きがそのままお金になるようなFXはワンクリックで大金を手にできるチャンスが満載の運用方法。
その反面、投資スパイラルにはまり込んで破産したという話も聞きます。
また、投資信託は少ない資産でプロの投資家が分散投資してくれるため、任せっきりでリスクの少ない資産運用法として広く普及していますが、上場株への投資ではないため、リアルタイムで損得勘定のできないデメリットがあります。
投資信託の持つ、このデメリットを補ったのがETFです。
ETFの定義からメリットと種類、口座開設のノウハウまで、わかりやすくご案内します。
ETFとは??
ETFとは証券取引所に上場している株や債券・商品・通貨等への投資信託です。
語源は「Exchange Traded Funds」の頭文字3文字、「上場投資信託」と呼ばれることもあります。
投資先は日本国内に限らず、欧米先進国はもちろん、グローバルサウスと呼ばれる新興国など多彩です。
明快で選択肢の多い資産運用法として脚光を浴びています。
1日に一度しか取引できない投資信託と違い、自己判断で市場の動きを見ながら売買できる点は大きなメリットです。
ETFのメリット・デメリット
ETFには下記のようなメリットがあります。
- 1銘柄で分散投資できる(1つの銘柄で分散投資できるためリスクが少ない)
- 少額から始められる(売買単位が低く数千円から始められる)
- リアルタイムで取引できる(目に見えるので取引時間内なら何度でも可能)
- 信託報酬が安い(投資信託に比べて安い)
- 売買の自由度が高い(リアルタイムなので指値や成行での注文ができる)
デメリットは、自動積立や自動再投資ができない点です。
しかしながら、証券会社によっては自動積立や再投資にも対応しているので、大きな問題はありません。
デメリットはデメリットとして考慮し、多くのメリットをどのように活用させるかが大切です。
ETFの地域別種類(国内籍ETFと外国籍ETF)
ETFの種類を地域別に大別すると国内籍ETFと外国籍ETFの2種類になります。
以下、特徴とそれぞれのメリット・デメリットです。
国内籍ETF | 外国籍ETF | |
特徴 | 日本国内の証券取引所に上場 | 主に外国の取引所だが日本に上場しているETFもある |
メリット | リアルタイムに円で取引できる | 種類が豊富で選択肢が多い |
デメリット | 外国籍に比べて種類が少ない | 為替リスクと現地時間での取引 |
国内籍ETFと外国籍ETF、それぞれを投資目的に応じて使い分けるのもひとつの方法でしょう。
ETFの資産別種類(日本株・外国株・再建・不動産・商品・レバレッジインバース型)
ETFを資産別に分けると以下の6種類になります。
- 日本株(市場別、規模別、業種別、テーマ別)
- 外国株
- 債券
- 不動産
- コモディティ(商品)
- レバレッジ型・インバース型
それぞれの特徴を以下表にまとめました。
ETFの資産別種類 | 特徴 |
日本株 | 市場別、規模別、業種別、テーマ別の4種類がある。国内ならではの細やかな対応が期待できる |
外国株 | 先進国はもちろん、新興国や複数国との連動ETFもあり豊富 |
債券 | 各国の国債と連動するETF。利回りは低くなるが信頼性は高い |
不動産 | REIT(リート)とも呼ばれ、利回りの高さと少額からの手軽な不動産投資として人気 |
コモディティ | 金や銀、プラチナなどの貴金属、原油などのエネルギー、小麦・トウモロコシ・牛肉などの商品先物市場への投資をいう。株式のような配当はなく、売買差益による利益のみ。 |
レバレッジ型・インバース型 | レバレッジ型は実際の値動きよりも大きく価格が動く。インバース型は相場の値動きと逆に動く。利益は大きいがリスクも高い。 |
ETFの全20種類|それぞれの特徴と適性

ここでは、上記分類によるETFを系統立てて、それぞれの特徴と適性を表にまとめています。
国内籍ETF、外国籍ETFそれぞれにご参照ください。
国内籍ETF10種類の特徴と適性
国内籍ETF種類 | 特徴 | 適性 |
日本株・市場別 | 日本の代表的な株価指数に連動毎日発表される指数のため、値動きをチェックしやすい | 初心者向け |
日本株・大型株 | 時価総額と流動性の高い企業で構成されたETF大手有名企業のため情報を得やすい | 無難なETFとして初心者にも人気 |
日本株・高配当 | 高配当の銘柄の組成によるETF成績に応じて定期的な株式の入れ替えが行われるため、投資家自身が調べたり、銘柄を選んだりする必要はない | 安定的な高配当を期待する方に向いている |
日本株・ESG | ESG投資とは、環境 (Environment)・社会 (Social)・ガバナンス(Governance) を考慮した投資。SDGs(持続可能な開発目標)とあわせた考え方もあり、中長期的な投資として高いパフォーマンスを期待できる。 | 社会への関心の高い方に向いている |
日本株・業種別 | TOPIX構成銘柄を17業種に分けたTOPIX-17を指標とするETF興味や関心を持つ業界や、今後成長が見込まれる業界へ少額から投資できる業界全体への分散投資となるため、個別銘柄によるリスクを回避できる | 着目している業界や関与する職業がある方に向いている |
日本株・レバレッジ型・インバース型 | レバレッジ型は日経平均株価などの約2倍の値動きを示し、インバース型は株価指数の-1倍として計算される株の値動きには反動があるため、どちらも短期間での運用が望ましい | 相場の上昇局面で大きなリターンを得たい方にはレバレッジ型下落時のリターンを狙いたい方にはインバース型が適している |
国内債 | 少額で日本国内のさまざまな債権にまとめて投資できる債権は株式市場と逆の値動きを示す | 株式運用のリスクを考慮して、株式と並行運用する方が多い |
国内債・インバ―ス型 | 長期国債先物指数の価格変動率に対して逆の値動きをする指数のETF円金利が上昇すると長期的な国債価格が下落し、リターンを狙える | 金利上昇への予測、リターン狙いなど、ある程度の経験が必要 |
REIT | 集めた資金を不動産運用するETF不動産の賃貸収入等による利益の大部分を投資家に分配すると法人税が免除されるため分配金は高くなる | 少額資金で大家さん気分を味わいたい方に適している |
コモディティ | 商品へ投資するETF金や銀、エネルギー・農産物など実物資産への投資だが、実物を保有せずに手軽に投資できる | 株や債券の補充やインフレのリスク回避を狙う方に向いている |
外国籍ETF10種類の特徴と適性
外国籍ETF種類 | 特徴 | 適性 |
先進国株 | グローバル株とも呼ばれる米国を中心とした先進国に限られるため、リスクは極めて低い東京証券取引所に上場しているETFなら、日本円で日本時間に投資できる | 安定的な配当を期待する方、世界中の株式に手軽に投資したい方に向いている |
欧州株 | 欧州の著名な企業、欧州経済をけん引する企業にまとめて投資するドイツの代表的な企業に特化したドイツ株ETFもある | 欧州に期待する方、欧州に興味のある方に適している |
米国株 | 米国株のみを扱うETF米国市場全体への投資となるため安定感抜群日本国内で上場しているETFなら空いた時間に円での投資が可能為替ヘッジの有無も選択できる | 米国への関心の強い方、低コストでの安定感を求める方に適している |
米国株ESG | 米国株と、環境 (Environment)・社会 (Social)・ガバナンス(Governance) に配慮したESG指数に連動したETF 米国株の高パフォーマンスとESG投資の両方の恩恵を受けられる | より高いパフォーマンスを求める方に向いている |
新興国株 | インドや中国、韓国・タイ・ブラジルなどグローバルサウスとかグローバルマジョリティ、あるいは新興国と呼ばれる国の株式に投資するETF 経済の成長期には比較的優位となる | 新興国や新興国企業の長期的な成長に期待を持つ方に向いている |
新興国株・単一国株 | 新興国株の個別の国の株式市場全体に投資できる日本市場に上場するETFであれば、日本時間に日本円で投資できる | 特定の国への思い入れや期待がある方に適している |
先進国債 | 先進国債によるETF国内債より利回りが高いため、リスク軽減に最適為替ヘッジの有無を選択できる | リスクを考慮しつつグローバルな投資をしたい方に向いている |
米国債 | 世界でもっとも信用性の高い債権である米国の国債に投資するETF高額になりがちな米国債を少額でまとめて分散投資できる | 低コストでの米国債売買を考えている方に適する |
欧州債 | 欧州債に投資するETF先進国債の中でも比較的安全性が高いドイツとフランスに特化したドイツ国債ETF、フランス国債ETFもある | 安定した配当を期待する方に適している |
新興国債 | 新興国債への投資先進国債よりも利回りが高いが、リスクも高い | 支援したい国、その国の成長に確信のある方、高い配当を求める方に適する |
初心者向けとして日本株関連を挙げていますが、実際に運用するのはプロの投資家です。
興味のある分野や応援したい国があれば、冒険してみるのもよいでしょう。
ETF口座開設の手順

ETFの口座開設は以下のような手順で行われます。
- 自分の買いたいETF商品のある金融機関を選ぶ
- 申込書を取り寄せる
- 身分証明書のコピーとともに提出する
- 提出後7~10日ほどで口座開設の連絡がくる
- 口座に入金
- 金融機関が入金を確認したら取引開始
ETF運用の手引き・注意点
以下はETF運用における一般的な傾向と注意点です。
- 最低売買金額は銘柄によって異なる(1~4万円が相場といわれている)
- 売買委託手数料に注意しておく
- 金融機関によって売買委託手数料が異なる
- 国内市場なら平日9:00~11:30、12:30~15:00に取引
- 米国市場の場合、23:30~06:00(サマータイムは22:30~05:00)
- 指値や成行での注文も可能だが、1日に何回も売買すると手数料が高くなる
売買委託手数料は金融機関によって異なるので、多くの証券会社をリストアップして比較検討するとよいでしょう。
ただし、自分の投資したい銘柄を取り扱っていない場合もあります。
どちらを取るかはそれぞれの選択、柔軟に対応しましょう。
リスクの大小で資産運用を考えよう
ETFは相場を見ながらリアルタイムで売買できるため、指値や成行での注文が可能です。
どちらかといえば積極的な資産運用法であり、リスクも少なめですが「絶対に大丈夫!」とは誰にもいえません。
適宜、購入するETF商品を見直したり、複数の証券会社で口座を開設するなど、リスク回避の対策は怠らないようにしましょう。
何が起こるかわからない時代になってきました。
この記事が、危機に備えるあなた様の資産運用の一助となれば幸いです。
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