PR

【投資最新】日本製鉄のUSスチール買収|大統領が阻止|日鉄が提訴で株価は?メリットとデメリット

スポンサーリンク
スポンサーリンク
株式投資
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

テレビや新聞の報道とは裏腹にトランプ氏の圧勝で終わったアメリカ大統領選。

2025年の大統領就任を前に国家の困難と真正面から向き合い、画期的な人事と政策でアメリカを守ろうとしているようです。その政策の一つなのでしょうか、日本製鉄によるUSスチール買収を断固阻止すると公言しています。この件に関してはバイデン大統領やハリス氏も同意見でした。

それぞれの真意はともかく、国家の歴史を担ってきた大企業が他国企業に買収されるなんて、国を愛する人にとっては屈辱でしょう。

ただ、USスチールの多くの従業員が両手を上げて買収を望み、米国民の間でもUSスチールは日本製鉄に買収された方がよいという声が多いのが現実です。

ここでは、日本製鉄によるUSスチールの買収報道の経緯を追いつつメリット・デメリットを提示、そして両者の株価動向を探ります。





スポンサーリンク
スポンサーリンク

日本製鉄によるUSスチール買収報道の経緯

日本製鉄によるUSスチール買収発表から1年経過しましたが、現大統領も次期大統領も買収阻止の姿勢を崩していません。どちらに転ぶかわかりませんが、まずは2024年12月現在までの経緯を追ってみましょう。

日本製鉄によるUSスチール買収2023年の動き

【2023年8月】USスチールが「戦略的選択肢」を検討していると公表。同じアメリカの鉄鋼会社クリーブランド・クリフスによる買収案が公開されて株価が上昇。

【2023年12月18日】日本国内の鉄鋼業最大手の日本製鉄がUSスチールを141億$(負債を含めて149億$ 〈約2兆2000億円〉で買収すると発表。一株の購入価格は市場価格を約40%上回る55$。

【2023年12月21日】ホワイトハウスが国家経済会議(NEC)のラエル・ブレイナード委員長の声明を発表。「USスチールは国家安全保障に重要な米国鉄鋼生産の中核企業であるため対米外国投資委員会(CFIUS)の審査対象になり得ると大統領は考えている」。

日本製鉄によるUSスチール買収2024年上半期の動き

【2024年2月2日】USW(全米鉄鋼労働組合)が声明を発表。「鉄は国家の安全保障であり重要インフラの必需品だ」とし、「日本製鉄とUSスチールの契約がアメリカ国家と組合員を困惑させている。バイデン大統領の支援を得た」と述べた。

【2024年2月26日】USWと日本製鉄が守秘契約を締結したと発表

【2024年3月14日】 バイデン大統領が声明を発表。「米国鉄鋼労働者が力を与えている米国の強い鉄鋼企業を維持することは極めて重要。鉄鋼労働者に私が後ろにいると伝えた。USスチールは1世紀以上もの間、米国の象徴的な鉄鋼会社である。国内で保有され操業が維持され続けることが必須」

【2024年4月12日】USスチールの特別株主総会において71%が買収提案に賛成。

日本製鉄によるUSスチール買収2024年下半期の動き

【2024年9月4日】日本製鉄がUSスチール買収後のガバナンス方針を発表。投資計画に加え、USスチール経営陣の中枢メンバーや役員の過半数を米国籍とする新方針を追加。

【2024年9月6日】日本の経団連がコメント「日本製鉄のUSスチール買収は、日本企業、とりわけ米国への投資を考える企業にとって極めて関心が高く、法令に基づき適正に手続きが進められ、公正に審査されることを期待する」

【2024年9月17日】日本製鉄が要請したCFIUS(対米外国投資委員会)による審査の再申請が認可される。

【2024年12月10日】バイデン米大統領が阻止する方針を固めたと報道(米ブルームバーグ通信)USスチールの株価は10日、9.7%安の35.26ドルで取引を終えた。市場は買収の不成立を織り込みつつある。

【2024年12月14日】CFIUS(対米外国投資委員会)が合意形成に苦慮(英紙フィナンシャル・タイムズ)CFIUSを率いる米財務省が日本製鉄とUSスチールに書簡を送る。

【2024年12月26日】アメリカがバイデン大統領に一任することを決定。バイデン大統領は2025年1月7日までに判断する予定。これを受けて日本製鉄が買収期限を2025年3月末までに変更。

日本製鉄によるUSスチール買収2025年の動き

【2025年1月3日】ロイター通信

バイデン米大統領日本製鉄のUSスチール買収を阻止することを正式に決定。1月2日に政府筋の話としてワシントン・ポスト紙が報道した。ホワイトハウスからのコメントはなし。日本製鉄もコメントを控えた。

【2025年1月4日】共同通信

日本製鉄が、米政府が命じた米鉄鋼大手USスチールの買収禁止が法令違反に当たるとして、米政府を提訴する方針を固めたことが3日、分かった。日鉄はバイデン米大統領による禁止命令は「明らかに政治的な判断だ」と主張しており、審査手続きの是非などを争うとみられる。

【2025年1月12日】時事通信

アメリカ政府が(バイデン大統領)が日本製鉄によるUSスチール買収の中止手続き期限を6月18日まで延長した。

日本製鉄とUSスチールが1月11日に発表。当初の中止手続き期限は2月2日だった。これを受けて日本製鉄とUSスチールは「買収完了に迷いはない」ことを改めて強調し、米政府への法廷闘争を続ける模様。

「クリフス」が競合のニューコアと連携しUSスチール買収か?

2025年1月13日 CBC

「クリフス」のゴンカルベスCEOは、競合のニューコアと連携し、USスチールの買収に乗り出すことを検討していると発表しました。13日に行われた記者会見では、感情むき出しで日本を批判したことで話題になっています。

「日本が中国に過剰生産の方法を教えた」
「中国は悪だが、日本はもっと悪い。日本は中国にダンピングや過剰生産を教えた」
「日本よ、気をつけろ」などなど、脅迫まがいの言葉のオンパレードでした。

これらの言葉が、本当に大企業のCEOの口から発せられたものであるとすれば非常に嘆かわしいこととです。

この記者会見を受けて、USスチールは「非常に失望している」とコメントしています。

日本製鉄とUSスチールの株価はどうなった?

日本製鉄の2023年12月18日の買収発表を受けてUSスチールの株価は一気に上昇しました。一方の日本製鉄は買収リスクを考慮したためか下落しています。

それでは、買収発表からの日本製鉄とUSスチールの株価動向を見ていきましょう。

USスチールの株価動向

日本製鉄の買収案はUSスチール1株当たり55$と提示され、発表前の株価39.33ドルに40%のプレミアムを付けたかたちとなります。米企業の買収案件で40%程度のプレミアムは高い方ではありませんが、先だって提示されたクリフスの買収案が1兆円前後だったことと比較するとかなりの高額となります。日本製鉄の買収発表によりUSスチールの株価は49.59 $にまで高騰しました。

以下グラフをご参照ください。

※引用元:https://www.nikkei.com/nkd/company/us/X/chart/?type=year

その後はUSWやホワイトハウスの声明発表と日本製鉄の対応によって上げ下げを繰り返しているのがはっきりとわかります。

ちなみに2024年12月13日の終値は33.26$でした。

日本製鉄の株価動向

一方の日本製鉄は買収リスクを考慮したためか発表当初は6%も下がりました。その後3月の決算期に上昇したものの緩やかに上げ下げを繰り返しながら3,000円台を推移しています。以下グラフをご参照ください。

※引用元:日本製鉄[5401] : 株価 : スマートチャートプラス : 日経電子版

日本製鉄の株価は2019年と比較すると2倍、コロナ発生当初の4倍に上昇しています。今後も上昇が見込まれていますが、ことUSスチールの買収に関しては投資家から歓迎されていないようです。

ネックとなっているのは2兆円の買収資金。借入で賄うとのことですが、負債増加と利払いによる利益低下は投資家にとって大きな懸念材料です。

ただし、買収に成功すると、世界3位の鉄鋼消費国である米国市場を手に入れることとなります。

日本製鉄がUSスチールを買収するメリットとデメリット

日本製鉄のUSスチール買収に対する声明発表や対応によって株価が揺れ動いています。今後、買収成功の可否が双方の株価にどれほどの影響を与えるのでしょう。

ここでは、その根拠ともいうべき、日本製鉄がUSスチールを買収するメリット・デメリットについて解説します。

日本製鉄がUSスチールを買収するメリット

日本製鉄の買収による具体的なメリットとして以下の3項目が挙げられます。

  1. 鉄鋼市場としてのアメリカの魅力
  2. ビッグリバースチールの存在
  3. アメリカはエネルギーコストが安い

アメリカの需要は先進国で最大となる年間約1億トンあるのに対し、同国内の粗鋼生産量は8000万トン台。人口増加も続くうえ、EVシフトを受けて日本製鉄が得意とする電磁鋼板など高付加価値鋼材の需要の伸びが期待できる。

ビッグリバースチールとはUSスチールが2021年に買収したスタートアップ企業であり「世界で最も環境に優しい製鉄所」としてLEED認証を受けている製鉄所です。EVで使われる高効率モーターに不可欠な無方向性電磁鋼板のラインを稼働させており、日本製鉄との技術・設備の融合が計り知れないシナジーを生む可能性があります。

二酸化炭素排出量の多い鉄鋼業界ですが、電炉でも高炉でもエネルギーコストの安い米国での生産がもっとも競争力を保てます。将来的には米国から鉄や粗鋼を輸入し、日本で製品化することも視野に入ってきます。

日本製鉄がUSスチールを買収するデメリット

日本製鉄がUSスチールを買収するにあたって考えられるデメリットは、買収資金となる2兆円の確保に伴う増資です。すでに国内の取引銀行からの確約を得ており借入金で対応するとのことですが、これによって日本製鉄のDEレシオ(負債資本倍率)は0.5から0.9まで上昇します。

0.9という数値は、一般的には安全圏といわれています、しかし、日本製鉄として、今後の状況次第での、増資の可能性も否定してはいません。

日本製鉄のUSスチール買収を阻む3つの懸念

2023年12月の買収合意発表から1年を経過した今でも迷走している理由として、以下の3つの懸念事項が挙げられます。

  • USWによる非難声明
  • アメリカ安全保障にかかわる問題
  • 日本製鉄と中国の関係

それぞれについて解説します。

USWによる非難声明

USW(全米鉄鋼労働組合)は、日本製鉄がUSスチール買収を発表した当初から反対姿勢を貫いています。即座に日本製鉄への買収避難声明を発表したのは、労働協約を盾にしてクリフスによるUSスチール買収を後押ししていたからです。

2024年12月には、トランプ次期大統領が日本製鉄のUSスチール買収計画に全面的に反対し、取引を阻止する意向を表明したことに対し、USWのマッコール会長が「歓迎する」との声明を発表しました。声明の内容は鉄鋼産業の国家安全保障への役割や、雇用と地域社会の重要性について触れ、トランプ氏の姿勢を高く評価しています。

アメリカの安全保障にかかわる問題

アメリカの安全保障にかかわる問題とは、鉄鋼製品が船舶や航空機、軍用車両・ミサイルなどの国防装備の原材料となっている点です。

敵の攻撃を防御するための構造部分の厚みや強度、耐性は軍事機密となります。第二次世界大戦中に、揚陸艦の大増産を担ったUSスチールであればこそ、安全保障上の機密が含まれるのは当然でしょう。

ホワイトハウスやUSWが、反対しているのは肯ける話です。

日本製鉄と中国の関係

日本製鉄の前身である新日鐵は、中国宝山鋼鉄の最新鋭の高炉建設を全面的に支援し、長期にわたり友好関係を保ってきました。

2004年には共同で自動車向け鋼板の合弁会社を設立。2024年8月に合弁が解消されるまで共同で中国の自動車産業をけん引します。その宝山鉄鋼は現在、世界最大の鉄鋼メーカーとなっています。

日本製鉄と宝山鉄鋼、および中国との密接な関係はアメリカにとって脅威です。



【まとめ】日本製鉄の買い時と売り時

日本製鉄のUSスチールの買収が成功すれば粗鋼生産能力は2000万トンの増産が見込まれ23%の増益、以降は毎年200億円の増益が見込まれるとのことです。

四季報による見通しでは2025年3月期の株価は5,500円にまで上がると見込まれています。

3000円台を推移している今は、比較的購入しやすいといえます。

ただし、鉄鋼需要が景気に大いに左右される点、そしてUSスチール買収の成否に左右されるのはいうまでもありません。長期保有にはリスクが伴うため、売り時をいつにするか?の判断が重要でしょう。



コメント

error: Content is protected !!