1月15日の日本メディアがこぞって報じたクリーブランド・クリフスのゴンカルベスCEOの記者会見。本当にこんなふうに喋ったのかと思うほどの日本叩きワードのオンパレードでした。トランプ大統領になってからどうなるのかわかりませんが「日本製鉄」「USスチール」「クリープランド・クリフス」を始めとした鉄鋼業界の行方が気になります。
本記事ではクリーブランド・クリフスとゴンカルベスCEOについて解説します。そして気になる買収の行方と日米関係にも言及。ゴンカルベスCEO発言前後の株価動向も紹介しているので、今後の動きに対する投資の目安になるでしょう。
現在3社いずれかの株を保有している方はもちろん、購入を検討している方、これから投資を始めようとする方は、ぜひ参考にしてください。
クリーブランド・クリフスのゴンカルベスCEO「日本は邪悪だ」発言
2025年1月15日、正月が明けてそろそろ身体が馴染んできた頃合いの日、お茶の間を賑わしたのがこの発言です。アメリカの鉄鋼会社クリーブランド・クリフスのゴンカルベスCEOによる記者会見に歯ぎしりした方もいたのではないでしょうか。
あるいは、劇映画のように挑発的な言葉にわざとらしい印象を受けた方もいたかもしれません。
さまざまな受け取り方があって然るべきです。
2023年8月にUSスチールが「戦略的選択肢」を検討していると公表したとき、クリーブランド・クリフスによる買収案が公開されました。その後、日本製鉄がクリフスを上回る額での買収案を提示。USスチールと合意したと発表したのは2023年12月になってからのことでした。
当のUSスチールの社員や日本製鉄も大いに盛り上がったのですが、米国鉄鋼労組などが猛反発。バイデン氏とハリス氏、トランプ氏も反対を表明したことで迷走を続けています。
クリーブランド・クリフスとは

「中国は恐ろしいが日本はもっとひどい。邪悪だ」「日本は1945年から何も学んでいない」などと、刺激的な言葉のオンパレードで一躍注目されたグリープランド・クリフスとゴンカルベスCEO。その真意を測りかねてさまざまな憶測が飛んでいます。
どのように紐解けばよいのでしょう?
まずは、クリーブランド・クリフスの概要と歴史を追ってみます。
クリーブランド・クリフスの概要
クリーブランド・クリフスは1847年にオハイオ州で地元実業家によって設立されました。その後、1891年に同業他社と合併してクリーブランド・クリフスと改名。アメリカ国内での資源調達と鉄鋼生産からオーストラリア・カナダへと資源調達を拡大していったのは第二次世界大戦後です。
世界鉄鋼協会のデータでは2022年の粗鋼生産量は1680万トンで世界22位、アメリカ合衆国第3位のシェアを占めます。
クリーブランド・クリフス戦略的買収の歴史
クリーブランド・クリフスは多くの会社を傘下に収め、その規模を拡大してきました。
以下、表をご覧ください。
年月日 | 買収企業 |
2007年6月 | USスチールの傘下だった石炭会社ピノオークを買収 |
2010年1月 | フリーウェスト・リソーシズ・カナダを2億4000万CAD$で買収。 |
2011年5月 | コンソリデーテッド・トンプソン・アイアン・マインズを49億CAD$で買収 |
2020年3月 | AKスチール・ホールディングスを11億$で買収 |
2020年12月 | アルセロール・ミッタルUSAを14億$で買収 |
2023年8月 | USスチールに1株30$台後半での買収提案 |
2024年7月 | カナダのステルコを25億$で買収 |
2020年のアルセロール・ミッタルUSAの買収により、クリーブランド・クリフスは北米最大手の企業となりました。
そして、衰えぬ買収意欲がUSスチールへ向けられたのですが、日本製鉄の参入により暗礁へ。
クリーブランド・クリフスCEOのゴンカルベス氏とは?

星条旗を掴んで険しい表情で話す記者会見の様子から、ただならぬ人物のようにも見受けられたゴンカルベス氏ですが、いったいどのような人物なのでしょう。
ここでは、クリーブランド・クリフスのゴンカルベスCEOの人物像に迫ります。
ゴンカルベス氏のプロフィール
ゴンカルベス氏の本名は「ロレンソ・ゴンカルベス( Lourenço Gonçalves)です。1968年にブラジル・リオデジャネイロで生まれました。
2025年現在の家族構成は妻と子供2人の4人家族、職業はご存知、クリーブランド・クリフスCEOです。
最終学歴はブラジルを代表する名門のミナスジェライス連邦大学、冶金工学の修士号を取得しています。
貧しい幼少期からのサクセスストーリー
ゴンカルベス氏に父親はおらず、教師として働く母親のもと貧しい地域で生まれ育ったといいます。このハングリー精神が、仕事への貪欲さと成功への情熱を育んだのでしょう。
9歳から独学で化学を学び始めたという苦労人。教育者である母親の影響で教育と自己啓発を重視してきた背景があります。
ゴンカルベス氏はブラジルで金属工学を学んだ後、1998年の1月13日に家族を連れてアメリカに移住、鉄鋼会社の一会社員として家族を養っていくことを決意しました。
才能と情熱に満ちたゴンカルベス氏はまたたく間に出世し、2001〜2006年にはカリフォルニア スチール インダストリーズ社の社長兼CEOにまで昇りつめます。
2007年からは、Metals USA Holdings Corp. の社長兼CEO に就任。そして2014年8月、クリーブランド・クリフスのCEOとなります。
「鉄鋼のイーロン・マスク」の異名と受賞歴
クリーブランド・クリフスのトップとなってからも戦略的な買収を次々と成功させてきたコンカルベス氏は「鉄鋼業界のイーロン・マスク」とも呼ばれています。
クリーブランド・クリフスの財政再建と、戦略的買収の成功、さらに持続可能性を推進した直接還元工場の取り組みなど、コンカルベス氏が鉄鋼業界にもたらした功績は計り知れません。
これらの功績が認められ、2021年には「鉄鋼メーカー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、「CEO/会長・オブ・ザ・イヤー」グローバル・メタルズ賞を受賞しました。
日本製鉄・USスチールの反応
ゴンカルベス氏発言を受けて、日本製鉄は対抗姿勢を鮮明にしました。ゴンカルベス氏の持つ偏った考えを批判し「本買収における計画の範囲と規模に匹敵し得ない」とコメントしています。
USスチールは以前より日本製鉄に買収されることを待ち望んでいました。アメリカ国内では、ゴンカルベス氏発言以降「アメリカの雇用や技術にとってプラスになる」「日本は重要な同盟国だ」と日本製鉄買収を歓迎する声が上がっています。
ゴンカルベス氏発言とトランプ大統領就任による3社の株価動向
今のところ、この買収問題は政治決着が有力視されています。直観力に優れた投資家たちの行動は迅速です。
ここでは、1月14日のゴンカルベス氏発言からトランプ大統領就任式にかけてのクリーブランド・クリフスとUSスチール・日本製鉄の株価動向を紹介します。
クリーブランドクリフスの株価動向
クリーブランド・クリフスの1月14〜21日の株価動向は以下の通りです。

資料提供元:TradingView
ゴンカルベス氏発言を受けて一時的に高値を記録しています。
日本製鉄の株価動向
日本製鉄の1月14〜21日のチャートになります。

資料提供元:TradingView
上昇傾向にあるのは、買収リスクを回避できたとの思惑も働いたのでしょう。
USスチールの株価動向
USスチールの1月14〜21日における株価動向は以下の通りです。

資料提供元:TradingView
USスチールも上昇傾向、買い注文が増えています。
日米関係に亀裂?揺れ動く株価
事実関係を追っただけの記事となってしまいましたが、もっとも注目されるのがトランプ大統領の動向です。有言実行、しかもビジネスマンであるだけに、落しどころを心得ているとの予測も少なくありません。トランプ大統領の決断次第で、株価急騰の可能性もあります。特にUSスチールとクリーブランド・クリフスは要チェックでしょう
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