PR
スポンサーリンク

【令和の懸念】緊急事態条項が「国会機能維持条項」に‼ 国民を黙らせる身勝手法案の中身とは?

スポンサーリンク
HOW TO 投資
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

近年、日本国憲法の改正議論において、「緊急事態条項」の創設が主要な論点として浮上していました。しかし、この条項が持つ権力濫用の危険性や国民の権利制限への懸念が広まるにつれて、議論の焦点が「国会機能維持条項」という名称に巧妙にすり替えられていたのです。

寝耳に水の名称変更は単なる言葉の綾ではなく、その背後には特定の意図が存在すると考えられます。本稿では、この名称変更の経緯、その具体的な内容、そしてそれが日本の民主主義に与える潜在的な影響について深く掘り下げて考察します。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

国会機能維持とは?

「国会機能維持」という言葉は、国会が緊急時においてもその役割を果たし続けるという、国民にとって直感的に理解しやすく、必要性を感じやすい側面を強調しています 。例えば日本維新の会や国民民主党、有志の会が2023年6月にまとめた憲法改正条文案では、「国会議員の任期延長その他の国会機能維持に関する緊急事態情報」という表現が用いられています 。すでに使われていたということが、今回の名称変更を示唆したものでないにせよ、比較的馴染みやすい言葉であることは間違いないでしょう。

政府としては、「国会機能維持」という言葉の安心を与えるような馴染みやすさを上手く利用したかったのかも知れません。   

緊急事態条項との比較

「緊急事態条項」という言葉は、戦前の歴史における権力濫用や人権侵害の記憶から、国民に強い警戒感や否定的な印象を与える傾向があります 。これに対し、「国会機能維持条項」という名称は、民主主義の根幹である国会の機能を維持するという、より肯定的で不可欠な側面を前面に出すことで、国民の抵抗感を和らげ、憲法改正議論への敷居を下げる効果を狙っていると推察されます。

自民党・公明党を主体とする日本の現政権のこれまでのあり様から推測するに、憲法改正という国家の根幹に関わる重大なテーマにおいて、国民の感情や世論を誘導しようとする政治的戦略の一環であり、法案の本質的な議論から国民の目を逸らさせる危険性が含まれていると思われても仕方ありません。   

日本国憲法と「緊急事態」:歴史的経緯と立憲主義の原則

現行憲法下の「緊急事態」規定の不在とその意義

日本国憲法には、包括的な「緊急事態条項」(国家緊急権)が明記されていません。これは、単なる条文の欠落ではなく、戦前の大日本帝国憲法下における緊急勅令や戒厳宣告の大権、治安維持法による言論弾圧などが、政府による人権侵害や戦争遂行のために濫用された痛ましい歴史的教訓を踏まえた、意図的な選択です 。   

現行憲法は、「民主政治を徹底し、国民の権利を十分に守るために」  あえて緊急事態条項を設けず、権力を「憲法」で縛る「立憲主義」の原則を徹底しています 。この憲法制定時の選択は、権力分立と人権保障を最優先する強い意思の表れであり、非常時においても「憲法の自殺」とも呼ばれるような権力集中を避ける道の選択です 。今まさにこの憲法の哲学が、「国会機能維持条項」の対立軸にあります。   

参議院の緊急集会の役割と限界

現行憲法下では、衆議院の解散中など、国会が機能しない緊急時に対応するため、「参議院の緊急集会」の制度が設けられています(憲法54条2項) 。この制度は、GHQの提案を退け、日本側の提案で採り入れられました 。緊急集会で講じられた措置は、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意を得なければ効力を失うとされており(憲法54条3項)、これはあくまで一時的かつ限定的な措置であり、国民の権利制限や停止を伴う固有の意味での国家緊急権とは異なります。

しかし、その期間(70日以内)や権能(個別具体的な案件に限定)については、国会内で「不十分」との意見も出ています 。例えば、緊急集会は長期にわたる事態を想定しておらず、総理が提示した個別具体的な案件しか議論できないという限界があるため、緊急事態条項が必要だという見解も少なくありません。

「国会機能維持条項」の具体的な内容と提案の論点

主要な提案内容と想定される緊急事態

日本維新の会、国民民主党、有志の会が2023年3月30日に合意し、同年6月19日に条文イメージを公表した案が、現在の議論の中心となっています 。この提案は主に以下の内容を含んでいます。 

  1.   国会議員の任期延長: 衆議院議員または参議院議員の任期を、国政選挙が適正に実施されるまでの間、最長6ヵ月間延長可能とし、再延長も認めるとされています 。衆議院の解散後や任期満了後には、前議員の身分を復活させた上で任期を延長する規定も含まれます 。この措置は、選挙の一体性が害されるほどの広範な地域において、国政選挙の適正な実施が70日を超えて困難であることが明らかな「選挙実施困難事態」を要件としています 。通常の任期に例外を設けるため、内閣の発議と国会の3分の2以上の議決が必要とされています 。 
  2. 国会の閉会・解散禁止: 国民生活および国民経済に甚大な影響が生じている、または生じることが明らかな緊急事態において、国会の機能を維持するために、国会の閉会や衆議院の解散を禁止するとしています 。この措置の発動には事前の国会承認(過半数)が必要で、宣言期間は最長6ヵ月で延長も可能です 。
  3. 緊急政令・緊急財政処分: 緊急事態宣言が発せられた場合、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができるとされています 。これらの政令や処分は事後に国会の承認を得る必要がありますが、提案されている条文イメージでは、緊急政令等については「例外的な事後の国会承認」も検討事項とされています 。   

想定される緊急事態の類型としては、武力攻撃、テロ、内乱、自然災害、感染症の蔓延、その他これらに匹敵する緊急事態の5類型が挙げられています 。   

提案者側の緊急事態条項(国会機能維持条項)に関する主張

自民党は、東日本大震災のような大規模災害や、今後30年以内に高い確率で発生が予想される南海トラフ地震などに対する備えや迅速な対応の必要性を主張しています 。彼らは、緊急事態においても国会の機能をできるだけ維持し、それが難しい場合には内閣の権限を一時的に強化し、迅速に対応できる仕組みを憲法に規定すべきだと考えています 。   

維新の会は、参議院の緊急集会が長期にわたる場合を想定しておらず、総理が提示した個別具体的な案件しか議論できないという限界があるため、緊急事態条項が必要であるとの見解を示しています 。また、衆議院解散後70日を超えた場合の緊急集会の通説の限界を指摘し、人命を救うことが最優先であり、憲法はそれに合わせるべきであるという見解も存在します 。   

「緊急事態条項」と「国会機能維持条項」:名称変更の背景と内容比較

項目旧名称:「緊急事態条項」が想起させるイメージ新名称:「国会機能維持条項」が想起させるイメージ提案されている具体的な内容(共通部分)懸念される主な危険性
歴史的背景戦前の緊急勅令の濫用、人権侵害、戦争遂行への利用  国会の機能停止回避、民主的正統性の維持  
主要な権限首相への権力集中、人権制限、憲法停止  国会議員の任期延長、前議員の身分復活、国会の閉会・解散禁止、緊急政令・財政処分  国会議員の任期延長 、緊急政令  選挙権制限、権力濫用、民主的統制の形骸化  
発動要件武力攻撃、テロ、内乱、自然災害、感染症など  武力攻撃、テロ、内乱、自然災害、感染症など、その他これらに匹敵する事態  武力攻撃、テロ、内乱、自然災害、感染症など、その他これらに匹敵する事態  「その他匹敵する事態」の曖昧性による濫用の可能性
承認手続き事前の国会承認(過半数)、緊急政令は事後承認  事前の国会承認(過半数)、緊急政令は事後承認も検討  事前の国会承認(過半数)  事後承認の検討による民主的統制の弱体化  
主な批判権力集中、人権侵害、立憲主義の破壊、憲法の自殺  上記に加え、既存法制で対応可能、選挙制度改善の優先

「国会機能維持」という言葉は、国会の民主的正統性を保つという名目を掲げていますが、その具体的な内容(任期延長、緊急政令、閉会・解散禁止)は、平時における国会の機能を大幅に制限し、内閣に広範な権限を集中させる可能性を秘めています 。特に、緊急政令の「例外的な事後の国会承認」という検討事項は、事前の国会承認という民主的統制の原則を弱め、内閣の独走を許す道を開く危険性があります。これは、国会の「維持」ではなく、むしろその「形骸化」につながるでしょう。すでにあらゆる法案が、議論されることなく閣議決定されてきた経緯があります。裏金や中国優遇など、自らの過ちを何ら省みることのできない政府が、国家の非常事態に何ができるのでしょう?

「機能維持」という言葉の肯定的な響きとは裏腹に、提案されている措置は、権力分立の原則を揺るがし、行政権の優位を確立しようとする意図が透けて見えます。これは、緊急時を口実とした恒久的な権力構造の変革を試みている可能性を示唆しています。   

「国民を黙らせる」危険性:権力集中と人権制限への懸念

日本弁護士連合会(日弁連)からの強い批判

日本弁護士連合会(日弁連)は、憲法に緊急事態条項を設けることに強く反対しています 。日弁連は、極度の権力集中が政府の権力濫用を招きやすく、ひとたび行使されれば立憲主義が損なわれ、回復が困難になるおそれがあると警告しています 。国民の権利や自由が大幅に制限される可能性があり 、特に2012年の自民党改憲草案では「何人も、国その他公の機関の指示に従わなければならない」とされており、国民の権利を大幅に制限・停止する危険性を孕んでいます 。   

歴史を振り返ると、戦前の緊急勅令による人権侵害や、1941年の国会議員任期延長が戦争遂行のために利用された事例があり 、日弁連はこれらの歴史的濫用の危険性を強調しています。   

憲法学者・市民団体からの批判

多くの憲法学者は、緊急事態条項の創設は「憲法の根本原理を無視し、国会の権能を奪い、国民の権利を制限する憲法停止条項に他ならない」と批判しています 。彼らは、緊急集会が明治憲法下の緊急勅令を認めず、国会中心主義を貫くために設けられた制度であり、議員任期延長は国民主権の例外であると指摘しています 。また、「有事の認定という重大な決定に際してこそ国民の判断を仰ぐべきだ」とし、「国民の参政権を奪う任期延長は議会制民主主義の否定だ」と主張しています 。   

既存法制での対応ができるはず!

多くの識者が、災害対策基本法、感染症対策特別措置法、事態対処法、警察法など、既存の法律で多くの緊急事態に対応可能であり、憲法改正の必要性はないと主張しています 。新型コロナ対策の遅れも、緊急事態条項の不在ではなく、政府の情報収集力と指導力の問題と指摘しています 。さらに、災害時でも選挙を実施できるよう、郵便投票の拡充やオンライン投票の法整備など、公職選挙法の改正で対応すべきとの提言もなされています 。   

提案されている「国会機能維持条項」は、一見すると緊急時の混乱を避けるための合理的な措置に見えますが、その実態は、国会議員の任期延長による国民の選挙権の制限や、内閣による緊急政令の事後承認化  など、民主主義の根幹である国民の主権と国会のチェック機能を弱体化させます 。特に、戦前の濫用事例  が示すように、緊急事態は権力集中と人権制限の「口実」となりやすく、一度憲法に組み込まれれば、平時への回復が困難になる「憲法停止条項」となります。「国会機能維持法」における国民を黙らせる作戦は、単なる感情論ではなく、歴史的経験と法学的分析に基づいた現実的な課題です。   

名称変更の意図と国民への影響

「緊急事態条項」から「国会機能維持条項」への名称変更は、法案の危険性に対する国民の懸念  を認識した上で、その本質を曖昧にし、より受け入れられやすいイメージを構築しようとする政治的レトリックです 。この名称は、「国会が機能しなくなる事態を防ぐ」という、国民にとって直感的に理解しやすく、必要性を感じやすい側面を強調しています 。   

この名称変更は、議論の焦点を「権力集中と人権制限」から「国会機能の維持」へと意図的にずらす効果を持ちます。背後にある、議員任期延長、緊急政令の発動、国会の閉会・解散禁止といった具体的な権限強化が、国民に十分に理解されないまま議論が進む危険性があります。世論調査では、緊急事態条項そのものへの賛成が50%を下回る一方 、自衛隊明記など他の改憲項目への賛成は高い傾向があり、国民による警戒感と政府への不信感は頂点に達しています。

民主主義無視政権への尽きない警戒

民主主義のプロセスにおいては、透明性と正確な情報提供が不可欠であり、言葉の「化粧」によって議論の質が低下することは、国民の主権を軽視する行為に他なりません。政治において、政策の名称や表現が、その内容の受容度を大きく左右することはよくあることです。

たとえば小泉大臣による備蓄米の販売が、さも米高騰を救ったかのように報道されますが、実は税金で備蓄した災害用に無償提供すべきお米なのです。しかも、カビや結露の検査も任意として売り出された現実をしっかりと認識しましょう。これが、日本政府のやり方です。「言葉のすり替え」は、情報操作の一種として警戒しましょう。

【まとめ】民主主義と立憲主義を守るために

「緊急事態条項」が「国会機能維持条項」へと名称を変えた背景には、国民の懸念を和らげ、本質的な議論を回避しようとする意図が強く感じられます。この「すり替え」は、民主主義の根幹である国民の知る権利と、熟議のプロセスを阻害する危険性をはらんでいます。

憲法改正は、国民の生活と権利に直接関わる重大な問題であり、拙速な議論や一部の政治的思惑による推進は許されません 。国民の72%が「幅広い合意形成」を優先すべきと回答している世論調査結果は、この問題に対する国民の慎重な姿勢を示しています。透明性の高い情報公開と、多角的な視点からの徹底した議論を通じて、国民的合意を形成することが不可欠です。   

「国会機能維持条項」を巡る議論は、単に特定の法案の是非に留まらず、日本社会が今後どのような民主主義のあり方を選択するのかという、より本質的な問いを突きつけています。

使い方さえ誤らなければ、「国民を黙らせる」法案ではなく、むしろ民主主義の健全性を問い直し、強化するための契機となり得ます。既存の法制  や選挙制度  の改善、あるいは憲法裁判所の導入  といった代替案の議論を深めることが不可欠です。権力を集中させたところで、現行政権のレベルでは、大国の太鼓持ち以外のことはできないでしょう。

国民が自らの主権を行使し、国家のあり方を決定する上での試金石として、「賛成」「反対」の二元論に陥るのではなく、多角的な視点から深く考察し、熟議を通じて最善の道を模索する姿勢が、成熟した民主主義社会には不可欠です。選挙での慎重な選択が望まれますが、不正選挙の可能性も否定できません。鉛筆ではなく、消せない自前のボールペンでしっかりと記入しましょう。

コメント

error: Content is protected !!