~「検索エンジン」から「AIアシスタント」へ、そしてその落とし穴~
2025年現在、Googleは「AIファースト」戦略を加速させ、検索結果の上位を自社の生成AI「Gemini」が占めるようになりました。しかし、その回答には、虚偽データ(ハルシネーション)が混在し、専門家からは「もはや検索エンジンではなく、創作エンジンだ」との批判が噴出しています。
本記事では、AI依存が招く情報生態系の危機を検証します。
なぜGoogleのAIは「嘘」を生成するのか?
AIは正直です。しかし、すべてのデータをまとめて回答するため、結果として嘘を生成してしまうこともあります。それは本意ではなく、正直に仕事をこなした結果です。嘘となってしまう根拠として、データ汚染と利益優先のアルゴリズム、人間不在の監視システムが挙げられます。
データ汚染と利益優先のアルゴリズム
2024年時点で、GoogleのAIは10億ページ以上のウェブデータを学習していますが、そのうち15%はフェイクニュースや未検証情報とのことです(※デジタル情報倫理研究所調べ)。 たとえば、医療情報検索で「がんに効くハーブ」と虚偽の回答を生成し、実際には毒性のある植物を推奨した事例がありました。
また、ユーザーの「即答」を優先するため、確度の低い情報を確信度90%以上と表示したり、広告収入を得るため「クリックを誘導する回答」を意図的に生成したりするケースも見受けられました。
人間の監視の不在
かつての検索エンジンは専門家チームが精度をチェックしていましたが、現在はAI同士の相互評価に依存しているため、まったくと言っていいほど融通が利きません。したがって、一度間違いを記憶してしまうとずっと間違う可能性が高くなります。そして、嘘が嘘を再生産する悪循環へと発展するのです。
検索エンジンとしての「終焉」~3つの衰退兆候~
かつては「ググる」という言葉がもてはやされるほど、何かを調べるために欠かせない検索エンジンでした。しかし、個人の嗜好や傾向データの集積によるバイアスや広告掲載に対し、多くの方が嫌悪感を示すようになったのも事実です。Googleの売りたい・買わせたい、私に任せなさいという強引さは、着実にユーザー離れを進めました。そして、Google終焉の兆候が現れ始めます。
- ユーザー離れ:「Google検索しない」「Geminiの回答を信用しない」が58%にまで上昇しました。(ピュー研究所)。代替手段として、DuckDuckGoやBrave検索の利用者が急増しています。
- 広告主の撤退:虚偽情報に関連した広告表示が問題化し、主要企業がGoogle広告を削減しています。
- 規制の強化: EUが「AI検索透明化法」を制定し、虚偽回答への罰金制度を導入しました。
Googleへの未来提言~AI時代の情報リテラシー~
あまりにも商業主義に走り過ぎたGoogleは道を踏み外しつつあります。やがてオールドメディア入りして新聞やテレビのように看過される日がくるかも知れません。情報の商品化には、必ずスポンサーや権力のバイアスがかかってしまうからです。今一度、AIの能力と導入目的、検索エンジンとしての役割を確かめる必要があるでしょう。
ユーザーはすでに、GoogleのAI回答に対して、一次情報の確認や複数ソースの照合や他社への乗り換えで対策を施しています。さらに、情報がどのような意図で操作されているのかについても知り始めているのです。
ユーザーや企業への要求を強いるだけでなく、Google自体が、体質を変える時期に来ています。
【まとめ】検索から「思考」へ ~人間の知性を取り戻すチャンス~
Googleの凋落は、商業主義の「便利さ」と「正確さ」のトレードオフを露呈しました。近年流行った感染症対策においても、さまざまな予防対策の中で高い効果を示したのは、紛れもなく人間の持つ免疫力でした。
AIが嘘をついた!と騒ぐ前に、もう少し人間として思考し、そのうえでAIにアシストを求める、というスタンスが賢明でしょう。肉体を持つ人間としての判断を誤らないことこそが、AIの成長にもつながります。
もはや「検索ボタン」よりも「自分の頭」を使うべき時が来ています。Googleも変わらなければなりません。
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