日本語は「やまとことば」と「漢語」、そして西洋諸国などから入ってきた「外来語」の三層構造から成り立っています。この中で「やまとことば」は日本語の根幹を成し、その音の響きや語感は、日本人の感性や情緒に深く根ざしています。大和言葉を駆使できずして、日本で生活することはできないといっても過言ではありません。
これらの言葉は、日本語の美的感覚や文化的価値観を内包する言語的基盤であり、例えば自然現象の描写や感情の機微を表現する際に、漢語や外来語では代替しがたい独特の温かみや奥行きを与えます。
誰ですかね! 七面倒臭いなんて言ったのは……日本人なら、しっかり使いこなしましょう。
【大和言葉】頭の動き・表情・顔の部位

【やまとことば】頭の動き・表情編
頭をもたげる
この表現は、身体的な動作を比喩的に用いて、潜在的な変化が顕在化する様子を詩的に描く大和言葉。日常や文学で微妙な心理の動きを表現するのに適し、否定的なニュアンスが多い。
**由来**:動物が頭を上げる動作から派生し、潜在的な物事や感情が表面化することを表す。古語「首を擡げる」が漢字表記で、隠れていたものが現れるイメージに基づく。
**例文**:不況の兆しが頭をもたげ始めた。彼女の心に未練が頭をもたげた。
頭を垂れる(こうべをたれる)
身体の姿勢で謙虚さを示す典型的な表現。現代では格式高い場面や文学で用いられ、自己反省や尊敬の意を伝える。対義語として「頭を上げる」がある。
**由来**:頭を下げる動作から、謙虚さや服従を表す。古来、神仏や目上への敬意を示す仕草が基盤。
**例文**:師匠の前に頭を垂れた。神前に頭を垂れ祈る。
かぶりを振る
**由来**:頭を振る動作から否定や拒絶を表す。「かぶり」は頭の古語で、動作の強調。
**例文**:提案を聞いてかぶりを振った。嫌な食べ物を前にかぶりを振る。
**解説**:首を振る仕草が感情を直感的に表現する言葉。日常会話で軽い否定や困惑を示し、親しみやすい。類語に「首を振る」。
顔を曇らせる
**由来**:空が曇るように表情が暗くなる比喩。自然現象と感情の結びつきが特徴。
**例文**:悪いニュースに顔を曇らせた。不機嫌な雰囲気に顔を曇らせる。
**解説**:心理的な動揺を顔の変化で描く表現。文学や日常で不安を表し、対義語は「顔を輝かせる」。
首を竦める(くびをすくめる)
**由来**:恐怖や気まずさで肩を縮める動作から心理的な縮こまりを表現。「竦める」は縮む意。
**例文**:叱責に首を竦めた。寒さに首を竦める。
**解説**:感情の消極的反応を身体で表す。日常で気まずさを示し、類語に「肩をすくめる」。
小首を傾げる(こくびをかしげる)
**由来**:「小首」は小さな首の意で、首を傾ける動作から疑問を表現。愛らしいニュアンス。
**例文**:不思議な話に小首を傾げた。謎の物体に小首を傾げる。
**解説**:好奇心を可愛らしく描く表現。女性や子供に使われ、柔らかい印象を与える。
【やまとことば】耳・鼻・目編
耳打ちする
**由来**:耳元でささやく動作から秘密を伝える。親密なコミュニケーションの象徴。
**例文**:秘密を耳打ちした。会議で意見を耳打ちする。
**解説**:内密さを強調する言葉。物語や日常で信頼を演出。類語に「ささやく」。
鼻を打つ臭い
**由来**:強い臭いが鼻を刺激するイメージから強烈な匂いを表現。「打つ」は感覚への強い影響。
**例文**:魚の臭いが鼻を打つ。スパイスの香りが鼻を打つ。
**解説**:嗅覚の刺激を描写。環境の雰囲気を伝える。類語に「鼻をつく」。
鼻で笑う
**由来**:鼻で「フン」と笑う動作から軽蔑を表現。感情の直接的な表れ。
**例文**:提案を鼻で笑った。稚拙な質問を鼻で笑う。
**解説**:侮蔑を表す表現。皮肉やからかいに用いる。類語に「嘲笑う」。
小鼻を膨らます
**由来**:怒りで鼻の穴が膨らむ様子から感情の高ぶりを表現。「小鼻」は鼻の繊細な動き。
**例文**:悔しさに小鼻を膨らませた。我慢で小鼻を膨らます。
**解説**:感情の昂りを描く。女性や子供に使われ、類語に「鼻息を荒くする」。
目くるめく(めくるめく)
**由来**:「目眩く(めくらめく)」から、目がくらむほど華やかで魅惑的な状態を表現。
**例文**:めくるめく光景に魅了された。めくるめく展開。
**解説**:目まいがするような魅力を描く。文学で多用され、類語に「眩惑的」。
目を見張る
**由来**:驚きで目を大きく見開く動作から、驚嘆を表現。
**例文**:成長ぶりに目を見張る。美しい景色に目を見張る。
**解説**:驚きの度合いを強調。類語に「驚愕する」。
目ばしこい
**由来**:目が敏捷で鋭い様子から、機敏さを表現。中国語「眼尖的」に類似。
**例文**:目ばしこい子供。目ばしこく動く。
**解説**:鋭い視線や素早さを描く。類語に「目ざとい」。
目をしばたたく
**由来**:目を瞬かせる動作から、驚きや困惑を表現。「しばたく」は瞬きの擬音。
**例文**:驚きに目をしばたたく。涙で目をしばたたく。
**解説**:感情の瞬間を表す。類語に「まばたく」。
目を掠める
**由来**:目を欺くようにこっそりする動作から、密かな行為を表現。
**例文**:目を掠めて逃げる。人目を掠めて行動。
**解説**:隠密さを強調。類語に「目を盗む」。
眦を上げる(まなじりをあげる)
**由来**:目尻を上げる動作から、怒りの表情を表現。古語の身体表現。
**例文**:怒りに眦を上げる。睨みで眦を上げる。
**解説**:激怒の様子を描く。類語に「目を吊り上げる」。
眉をひそめる
**由来**:眉を寄せる動作から、不快や心配の表情を表現。
**例文**:不快に眉をひそめる。心配で眉をひそめる。
**解説**:心理的な不満を表す。類語に「顔をしかめる」。
柳眉を逆立てる(りゅうびをさかだてる)
**由来**:柳のような細い眉を逆立てる比喩から、美人が怒る様子を表現。
**例文**:柳眉を逆立てて叱る。美人が柳眉を逆立てる。
**解説**:美人の怒りを詩的に描く。類語に「眉を吊り上げる」。
眉に唾をつける
**由来**:狐や狸に化かされないよう眉に唾をつける俗信から、用心する意味。
**例文**:甘い話に眉に唾をつける。詐欺に眉に唾をつける。
**解説**:警戒を促す表現。類語に「眉唾物」。
【やまとことば】口編
舌打ちする
**由来**:舌を歯に打ちつける音から、不満を表現。
**例文**:苛立ちに舌打ちする。失敗に舌打ち。
**解説**:苛立ちの仕草。類語に「舌鼓を打つ」(逆の意味)。
歯噛みする・くちばしを鳴らす
**由来**:歯を噛みしめる動作から悔しさ、くちばしを鳴らす擬音から苛立ちを表現。
**例文**:悔しさに歯噛みする。苛立ちにくちばしを鳴らす。
**解説**:感情の抑圧を描く。類語に「歯ぎしり」。
固唾を呑む
**由来**:緊張で唾が固まるように飲み込む動作から、息を潜める意味。
**例文**:結果を固唾を呑んで見守る。緊張に固唾を呑む。
**解説**:緊張の極みを表現。類語に「息を潜める」。
欠伸を噛み殺す
**由来**:欠伸を噛んで抑える動作から、我慢を表現。
**例文**:退屈に欠伸を噛み殺す。失礼を避け欠伸を噛み殺す。
**解説**:忍耐の様子を描く。類語に「あくびを抑える」。
おくびを吐く
**由来**:「噯気(げっぷ)」を吐く動作から、隠し事を漏らす意味。「おくび」はげっぷの古語。
**例文**:秘密をおくびを吐く。未練をおくびに吐く。
**解説**:内緒を漏らす表現。類語に「げっぷをする」(比喩)。
おくびにも出さない
**由来**:げっぷさえ出さないように秘密を隠す意味。
**例文**:動揺をおくびにも出さない。秘密をおくびにも出さない。
**解説**:感情を隠す。類語に「素知らぬ顔」。
吐息をつく
**由来**:息を吐く動作から、ため息や安堵を表現。
**例文**:疲れに吐息をつく。ほっと吐息をつく。
**解説**:感情の吐露。類語に「ため息をつく」。
息をこらす・息を殺す
**由来**:息を凝らして緊張する動作から、静かにする意味。
**例文**:緊張に息をこらす。隠れ息を殺す。
**解説**:集中の様子。類語に「息を潜める」。
【やまとことば】泣く編
忍び泣く
**由来**:声を抑えて泣く動作から、秘めた悲しみを表現。
**例文**:悲しみに忍び泣く。夜に忍び泣く。
**解説**:控えめな泣き方。類語に「むせび泣く」。
さめざめ泣く
**由来**:涙が冷たく感じるほど泣く様子から、静かに泣く意味。
**例文**:悲しみにさめざめ泣く。雨にさめざめ泣く。
**解説**:しんみりした泣き方。類語に「しとしと泣く」。
むせび泣く
**由来**:声を詰まらせて泣く動作から、嗚咽する意味。
**例文**:感情にむせび泣く。孤独にむせび泣く。
**解説**:激しい悲しみ。類語に「嗚咽する」。
せぐり上げる
**由来**:涙を拭き上げる動作から、泣く意味。古語の身体表現。
**例文**:悲しみにせぐり上げる。涙をせぐり上げる。
**解説**:涙を拭う仕草。類語に「泣きじゃくる」。
【やまとことば】笑う編
含み笑い
**由来**:声を抑えて笑う動作から、内緒の笑い。
**例文**:秘密に含み笑い。皮肉に含み笑い。
**解説**:微妙な笑い。類語に「にやりと笑う」。
片頬笑い(かたほわらい)
**由来**:片側の頬で笑う動作から、皮肉や嘲笑。
**例文**:皮肉に片頬笑い。嘲りに片頬笑い。
**解説**:不敵な笑い。類語に「片頰笑み」。
【大和言葉】装い・身なり・立ち居振舞い

【やまとことば】装い・身なり編
身仕舞い(みじまい)
**由来**:身支度を整える動作から、服装や身なり。
**例文**:身仕舞いを整える。清潔な身仕舞い。
**解説**:身なりの整え方。類語に「身だしなみ」。
べべ
**由来**:幼児語から衣服の意味。関西方言で着物。
**例文**:べべを着る。新しいべべ。
**解説**:着物の古語。方言で用いられる。
一張羅(いっちょうら)
**由来**:一枚の着物から、最も良い衣服。蝋燭の一挺から転じた。
**例文**:一張羅を着る。晴れ着の一張羅。
**解説**:大切な一着。類語に「晴れ着」。
衣擦れ(きぬずれ)
**由来**:衣服の擦れ音から、着物の音。
**例文**:衣擦れの音。絹の衣擦れ。
**解説**:衣服の摩擦音。類語に「衣ずれ」。
絡げる(からげる)
**由来**:絡めて結ぶ動作から、束ねる意味。
**例文**:髪を絡げる。紐を絡げる。
**解説**:くくる。類語に「結ぶ」。
襷がけ(たすきがけ)
**由来**:襷をかける動作から、袖を上げる意味。
**解説**:準備態勢。類語に「たすき掛け」。
鉢巻き(はちまき)
**由来**:鉢を巻くように頭に巻くから、気合いを入れる意味。
**例文**:鉢巻きを締める。
**解説**:決意の象徴。類語に「鉢巻」。
姉さんかぶり
**由来**:姉さん風の被り方から、女性の被り物。
**例文**:姉さんかぶりで家事をする。
**解説**:三角巾の被り方。類語に「かぶり」。
頬かむり(ほおかむり)
**由来**:頬を覆う被り方から、泥棒のイメージ。
**例文**:頬かむりで隠れる。
**解説**:覆面の被り。類語に「ほっかむり」。
【やまとことば】立居振舞い編
はだける
**由来**:肌を剥くから、衣服が開く。
**例文**:はだける着物。胸をはだける。
**解説**:乱れた服装。類語に「肌を出す」。
かなぐり捨てる
**由来**:鎌を投げ捨てるように、無造作に捨てる。
**例文**:過去をかなぐり捨てる。物をかなぐり捨てる。
**解説**:思い切って捨てる。類語に「投げ捨てる」。
裾捌き(すそさばき)
**由来**:裾の扱い方から、足運び。
**例文**:裾捌きが良い。舞台の裾捌き。
**解説**:着物の裾の処理。類語に「裾さばき」。
裾を払う(すそをはらう)
**由来**:裾の汚れを払う動作から、気にしない意味。
**例文**:意見を裾を払う。裾を払って歩く。
**解説**:無視する。類語に「相手にしない」。
褄取る(づまどる)
**由来**:着物の褄を取る動作から、美しい着付け。
**解説**:着物の裾の整え。類語に「裾を取る」。
衣紋を直す(えもんをなおす)
**由来**:襟元を直す動作から、姿勢の修正。
**例文**:衣紋を直す。着物の衣紋を直す。
**解説**:襟の整え。類語に「襟を正す」。
抜き衣紋(ぬきえもん)
**由来**:襟を抜く着方から、後ろ襟を下げる。
**例文**:抜き衣紋の着こなし。
**解説**:伝統的な着付け。類語に「抜き襟」。
【やまとことば】振舞いによる比喩編
端折る(はしょる)
**由来**:裾を折り上げるから、省略する意味。
**例文**:話を端折る。裾を端折る。
**解説**:短くする。類語に「省く」。
たくし上げる
**由来**:衣服をたくし上げる動作から、引き上げる意味。
**例文**:裾をたくし上げる。袖をたくし上げる。
**解説**:作業時の仕草。類語に「まくり上げる」。
しごく
**由来**:絞る動作から、徹底する意味。
**例文**:しごく当然。予算をしごく。
**解説**:極めて。類語に「至極」。
揉み立てる(もみだてる)
**由来**:揉んで立てる動作から、励ます意味。
**解説**:鼓舞する。類語に「煽る」。
ぞろり
**由来**:ぞろぞろの変形で、まとまって並ぶ様子。
**例文**:ぞろり並ぶ。ぞろりとした服。
**解説**:一列に並ぶ。類語に「ぞろぞろ」。
【やまとことば】化粧・身だしなみ編
けわい
**由来**:化粧の古語から、装う意味。
**解説**:化粧。類語に「メイク」。
眉をひく
**由来**:眉を描く動作から、化粧。
**解説**:眉の化粧。類語に「眉を描く」。
紅をさす
**由来**:紅を差す動作から、口紅や頬紅。
**解説**:化粧の仕上げ。類語に「紅を引く」。
髪を撫でつける
**由来**:髪を撫でて整える動作から、髪型。
**解説**:髪の整え。類語に「髪を梳かす」。
髪をすく
**由来**:髪を梳く動作から、整える意味。
**解説**:髪のすき方。類語に「髪を梳く」。
お櫛上げ(おぐしあげ)
**由来**:櫛で髪を上げる動作から、髪結い。
**解説**:髪の結い上げ。類語に「髪上げ」。
鬢(びん)
**由来**:側頭部の髪から、鬢付け。
**解説**:髪の側面。類語に「鬢髪」。
【やまとことば】容姿・外観編
別嬪・別品(べっぴん)
**由来**:特別な品から、美人。
**解説**:美しい女性。類語に「美人」。
細面(ほそおもて)
**由来**:細い顔から、面長の美人。
**解説**:細長い顔。類語に「面長」。
瓜実顔(うりざねがお)
**由来**:瓜の種のように細長い顔から、美人の顔。
**解説**:理想の美人顔。類語に「卵顔」。
玉肌(たまはだ)
**由来**:玉のように美しい肌から。
**解説**:美しい肌。類語に「雪肌」。
緑の黒髪(みどりのくろかみ)
**由来**:みずみずしい黒髪から、美しい髪。
**解説**:艶やかな髪。類語に「烏の濡れ羽色」。
【やまとことば】印象編
垢抜ける(あかぬける)
**由来**:垢が抜けるように洗練されるから。
**解説**:洗練される。類語に「しゃれる」。
小股の切れ上がった
**由来**:小股の切れ上がった女性の歩きから、魅力的な体型。
**解説**:スタイルの良さ。類語に「柳腰」。
鯔背(いなせ)
**由来**:ボラの背のような髪型から、粋な男性。
**解説**:粋な様子。類語に「いき」。
伊達者
**由来**:伊達政宗の派手さから、派手な服装。
**解説**:おしゃれな人。類語に「伊達男」。
たおやか
**由来**:たわむから、柔らか。
**解説**:しなやか。類語に「柔らか」。
なよやか
**由来**:なよなよから、柔弱。
**解説**:しなやか。類語に「なよなよ」。
はんなり
**由来**:花なりから、上品で華やか。
**解説**:華やか上品。類語に「はんなり」。
奥床しい(おくゆかしい)
**由来**:奥ゆかしいから、上品。。
**解説**:奥ゆかしい。類語に「おくゆかしい」。
慎ましい
**由来**:つつましいから、控えめ。
**解説**:控えめ。類語に「つつましい」。
楚々とした
**由来**:楚々から、清楚。
**解説**:清楚。類語に「楚々」。
様子ぶる
由来:様子を振る舞うから、装う。
解説:装う。類語に「様子ぶる」。
蓮っ葉(はすっぱ)
**由来**:蓮葉から、下品。。
**解説**:下品。類語に「はすっぱ」。
ぶっきら棒
**由来**:打っ切り棒から、愛想ない。
**解説**:無愛想。類語に「ぶっきらぼう」。
【大和言葉】食べる・呑む・寝る

【やまとことば】食事編
夕餉をしたためる
**由来**:夕食を準備する動作から。
**解説**:夕食の準備。類語に「夕飯を整える」。
口を潤す(くちをうるおす)
**由来**:口を湿らせるから、飲む意味。
**解説**:少し飲む。類語に「喉を潤す」。
掻きこむ
**由来**:掻き込んで食べる動作から、急いで食べる。
**解説**:急ぎの食事。類語に「かき込む」。
ご相伴に与る(ごしょうばんにあずかる)
**由来**:茶道の相伴から、他人の恩恵に与る。
**解説**:恩恵を受ける。類語に「相伴」。
大盤振る舞い
**由来**:椀飯振る舞いから、気前よく振る舞う。
**解説**:豪勢なもてなし。類語に「気前がいい」。
【やまとことば】宴編
無礼講
**由来**:神事の礼講から、身分を忘れる宴。
**解説**:気軽な宴会。類語に「ざっくばらん」。
酌をする
**由来**:酒を注ぐ動作から、酒を振る舞う。
**解説**:酒を注ぐ。類語に「お酌」。
盃を取り交わす
**由来**:盃を交換から、約束を交わす。
**解説**:契りを結ぶ。類語に「盃事」。
徳利の尻をつまむ
**由来**:徳利の底をつまむから、最後の一杯を飲む。
**解説**:酒を飲み干す。類語に「飲み干す」。
くだを巻く
**由来**:機織りの管を巻く音から、くどくど言う。
**解説**:同じことを繰り返す。類語に「管を巻く」。
呂律が回らない(ろれつがまわらない)
**由来**:音楽の音階が回らないから、舌が回らない。
**解説**:酔って話せない。類語に「舌が回らない」。
お座がさめる
**由来**:座が冷めるから、宴が終わる。
**解説**:宴の終了。類語に「お開き」。
お開きにする
**由来**:酒の封を開く神事から、宴の終わり。
**解説**:宴を終える。類語に「散会」。
【やまとことば】睡眠編
褥につく(しとねにつく)
**由来**:褥に就くから、床に就く。
**解説**:就寝。類語に「寝床に就く」。
枕につく
**由来**:枕に就くから、寝る。
**解説**:就寝。類語に「寝につく」。
まどろむ
**由来**:目をとろむから、うとうとする。
**解説**:浅い眠り。類語に「微睡む」。
うつらうつら
**由来**:うつらの繰り返しから、ぼんやり。
**解説**:ぼんやり眠い。類語に「うとうと」。
まんじりともしない
**由来**:まんじり(少し眠る)がしないから、眠らない。
**解説**:一睡もしない。類語に「不眠」。
寝汚い(いぎたない)
**由来**:寝て汚いから、寝坊。
**解説**:なかなか起きない。類語に「寝坊」。
【大和言葉】お金・経済・性格・状況描写

【やまとことば】お金・経済編
勘定をする
**由来**:計算から、会計。
**解説**:支払い。類語に「会計」。
お愛想をする
**由来**:愛想から、会計の意味も。
**解説**:会計を請う。類語に「勘定」。
懐勘定をする
**由来**:懐で計算から、独り占め。
**解説**:独占。類語に「ピンハネ」。
耳を揃える
**由来**:小判の耳を揃えるから、全額。
**解説**:全額用意。類語に「全部」。
身銭を切る
**由来**:自分の金から、負担。
**例文**:身銭を切る。身銭を切る。
**解説**:自腹。類語に「自腹を切る」。
羽振りがよい
**由来**:鳥の羽振りが良いから、勢い。
**解説**:景気が良い。類語に「威勢がいい」。
上前をはねる(うわまえをはねる)
**由来**:上米をはねるから、ピンハネ。
**解説**:中抜き。類語に「ピンハネ」。
袖に忍ばせる
**由来**:袖に隠すから、密かに持つ。
**解説**:隠し持つ。類語に「袖に収める」。
懐に入れる
**由来**:懐に入れるから、取り込む。
**解説**:味方にする。類語に「抱え込む」。
左前になる
**由来**:死者の着物が左前から、不吉。
**例文**:左前になる。左前になる。
**解説**:倒産。類語に「破産」。
【やまとことば】性格・状況描写編

甲斐甲斐しい
**由来**:効果があるように働くから、かいがいしい。
**解説**:熱心に働く。類語に「かいがいしい」。
まめまめしい
**由来**:仏教語で善行を意味した。誠実・真面目から。。
**解説**:誠実に働く。類語に「まめ」。
心尽くし(こころづくし)
**由来**:心を尽くすから、精一杯。
**解説**:心遣い。類語に「心遣い」。
身をやつす
**由来**:身をやつれるから、みすぼらしくなる。
**解説**:やつれる。類語に「憂き身をやつす」。
身忙しい(みぜわしい)
**由来**:身が忙しいから、せわしい。
**解説**:忙しい。類語に「忙しない」。
物々しい(ものものしい)
**由来**:物しから、いかめしい。
**解説**:厳重。類語に「厳重」。
まごまごする
**例文**:まごまごする。まごまごする。
**解説**:うろたえる。類語に「馬子から」説。
きりきり舞い
**由来**:きりきり回るから、忙しい。
**解説**:慌ただしい。類語に「てんてこ舞い」。
てんわやわんや
**由来**:手に手に我々から、混乱。
**解説**:大混乱。類語に「どたばた」。
天手古舞い(てんてこまい)
**由来**:てんてこ太鼓の舞から、忙しい。
**解説**:大忙し。類語に「目が回る」。
勇を越す(ゆうをこす)
**由来**:勇を越えて決意。
**解説**:決心。類語に「勇を鼓す」。
言質を取る(げんちをとる)
**由来**:証拠の言葉を取るから。
**解説**:証拠を掴む。類語に「言葉を取る」。
快刀乱麻を断つ
**由来**:絡まった麻を刀で断つから、解決。
**解説**:鮮やか解決。類語に「一刀両断」。
肝を据える
**由来**:肝を据えて覚悟。
**解説**:決心。類語に「腹を据える」。
垢を落とす(あかをおとす)
**由来**:垢を落とすから、洗練。
**解説**:垢抜け。類語に「洗う」。
水を結ぶ
**由来**:水を結んで氷から、冷やす。
**解説**:冷やす。類語に「冷水」。
打っ遣る(うっちゃる)
**由来**:投げ遣るから、無視。
**解説**:放っておく。類語に「放棄」。
手薬煉を引く(てぐすねをひく)
**由来**:弓の薬煉を引くから、準備。
**解説**:待ち構える。類語に「準備万端」。
忖度する(そんたくする)
**由来**:他人の心を推し量るから。
**解説**:相手の気持ちを推測。類語に「推量」。
矯めつ眇めつ(ためつすがめつ)
**由来**:目を細めて見るから、じっくり見る。
**解説**:つくづく見る。類語に「じろじろ」。
畳なわる(たたなわる)
**由来**:畳が重なるから、繰り返す。
**解説**:繰り返す。類語に「畳み掛ける」。
小脇に抱える
**由来**:脇に抱えるから、持つ。
**解説**:抱きかかえる。類語に「抱える」。
拉ぐ(ひしぐ)
**由来**:押しつぶすから、強く押す。
**解説**:押しつぶす。類語に「つぶす」。
居住まいを直す
**由来**:姿勢を直すから、態度を正す。
**解説**:姿勢を正す。類語に「居住まいを正す」。
折り目を正す(おりめをただす)
**由来**:折り目を正すから、態度を正す。
**解説**:規律を守る。類語に「折目を正す」。
襟を正す(えりをただす)
**由来**:襟を正すから、態度を正す。
**解説**:気持ちを引き締める。類語に「襟を正す」。
鯱張る(しゃちこばる)
**由来**:鯱のように構えるから、威張る。
**解説**:いかめしい。類語に「しゃちほこばる」。
四角張る(しかくばる)
**由来**:四角く張るから、堅苦しい。
**解説**:格式張る。類語に「堅苦しい」。
【大和言葉】礼儀作法・挨拶・社交辞令

【やまとことば】礼儀作法編
三つ指をつく
**由来**:三本指を床につく礼から、丁寧な挨拶。。
**解説**:女性の礼。類語に「三つ指」。
ちんと座る
**由来**:きちんと座るから、整然。
**解説**:きちんと座る。類語に「きちんと」。
しどけない
**由来**:しまりがないから、だらしがない。
**解説**:だらしない。類語に「あられもない」。
お目もじする
**由来**:目文字から、会う。
**解説**:会う敬語。類語に「お目にかかる」。
【やまとことば】挨拶・社交辞令編
「ごめんください」と「ごめんあそばせ」
**由来**:免許を請うから、入室の許し。
**解説**:訪問の挨拶。類語に「失礼します」。
お暇します(おいとまします)
**由来**:暇を頂くから、退去。
**解説**:辞去の挨拶。類語に「失礼します」。
ようこそ、お運びくださいました。
**由来**:運んで来てくれたから、訪問感謝。
**解説**:歓迎。類語に「いらっしゃい」。
心ばかりのもの
**由来**:心のこもった少しのものから、贈り物。
**解説**:謙遜の贈り物。類語に「つまらないもの」。
【大和言葉】喋る・コミュニケーション

【やまとことば】喋る編
縷々と述べる(るるとのべる)
**由来**:糸のように細く長くから、くどくど。
**解説**:詳しく話す。類語に「くどくど」。
立板に水(たていたにみず)
**由来**:板に水が流れるように、滑らか。
**例文**:立板に水。たていたにみず。
**解説**:流暢な話し方。類語に「弁が立つ」。
御託を並べる(ごたくをならべる)
**由来**:御託宣から、言い訳。
**解説**:言い訳を並べる。類語に「言い訳」。
掻き口説く(かきくどく)
**由来**:掻き立てて口説くから、説得。
**例文**:掻き口説く。かきくどく。
**解説**:熱心に説得。類語に「説き伏せる」。
噛んで含める
**由来**:噛んで含めるように、丁寧に教える。
**解説**:詳しく教える。類語に「懇切に」。
容喙しない(ようかいしない)
**由来**:口を容れないから、口出ししない。
**解説**:干渉しない。類語に「口を挟まない」。
接穂がない(つぎほがない)
**由来**:継ぎ穂がないから、糸口がない。
**解説**:手がかりがない。類語に「手がかりがない」。
【やまとことば】コミュニケーション編
首肯する(しゅこうする)
**由来**:首を肯くから、うなずく。
**解説**:同意。類語に「うなずく」。
相槌を打つ
**由来**:鍛冶の相槌から、調子を合わせる。
**解説**:同意の返事。類語に「あいづち」。
話のあどを打つ
**由来**:アドから、調子を合わせる。
**解説**:相槌。類語に「あいづち」。
目交ぜする(めまぜする)
**由来**:目を交ぜるから、目配せ。
**解説**:目で合図。類語に「目配せ」。
かまびすしい
**由来**:やかましいの古語から、騒がしい。
**解説**:うるさい。類語に「やかましい」。
啖呵を切る
**由来**:痰火を切るから、威勢よく言う。
**解説**:威勢よく言う。類語に「まくし立てる」。
そっぽを向く
**由来**:外方を向くから、無視。
**解説**:無視。類語に「そっぽを向く」。
尻目に描ける(しりめにかける)
**由来**:尻目で描けるから、無視。
**解説**:無視。類語に「尻目に」。
目もくれない・一顧だにしない・歯牙にもかけない
**由来**:目もくれないから、無視。
**解説**:無視。類語に「見向きもしない」。
うんともすんとも
**由来**:うんとすんの音から、無反応。
**解説**:反応なし。類語に「音沙汰なし」。
科をつくる(しなをつくる)
**由来**:仕草を作るから、わざとらしい。
**解説**:わざとらしい態度。類語に「科を作る」。
きったはった
**由来**:切って張ってから、殺伐。
**解説**:暴力沙汰。類語に「切り張り」。
【大和言葉】感情表現・恋愛

【やまとことば】感情表現編
地団駄を踏む
**由来**:地を踏む鞴から、悔しがる。
**解説**:悔しがる。類語に「足を踏み鳴らす」。
捩づく(もじづく)
**由来**:捩るから、もじもじ。
**解説**:もじもじする。類語に「もじもじ」。
血道を上げる(ちみちをあげる)
**由来**:血脈を上げるから、熱中。
**解説**:夢中。類語に「血道をあげる」。
首ったけ
**由来**:首までつかるから、夢中。
**解説**:どっぷり惚れる。類語に「首っ丈」。
胸を轟かす
**由来**:胸を鳴らすから、胸騒ぎ。
**解説**:胸騒ぎ。類語に「胸騒ぎ」。
小躍りする
**由来**:小さい躍りから、喜ぶ。
**解説**:喜ぶ。類語に「雀躍」。
【やまとことば】恋愛編
鼻の下を長くする
**由来**:鼻の下が伸びるような笑いから、色気。
**解説**:女に甘い。類語に「鼻の下を伸ばす」。
色目を使う
**由来**:色っぽい目から、誘惑。
**解説**:媚びる目。類語に「流し目」。
秋波を送る
**由来**:秋の波のような目から、流し目。
**解説**:媚びる。類語に「色目」。
岡惚れ(おかぼれ)
**由来**:傍らから惚れるから、片思い。
**解説**:片思い。類語に「片惚れ」。
理ない仲(わりないなか)
**由来**:道理のない仲から、密かな仲。
**例文**:理ない仲。わりないなか。
**解説**:不倫。類語に「密通」。
密心(みそかごころ)
**由来**:密かな心から、秘めた思い。
**解説**:隠れた恋心。類語に「密心」。
【大和言葉】自然由来・水・状態・程度

【やまとことば】自然由来・水編
鴛鴦の契り(えんおうのちぎり)
**由来**:おしどり夫婦から、夫婦の契り。
**解説**:仲良し夫婦。類語に「おしどり夫婦」。
しとど
**由来**:しとしと濡れるから、びしょびしょ。
**解説**:びしょ濡れ。類語に「びっしょり」。
湯水のごとく
**由来**:湯水のように尽きないから、無駄遣い。
**解説**:無駄に使う。
こんこん……水の湧き出る音
**由来**:水の音の擬音から、湧き出る。
**解説**:湧き出る音。
鉄火(てっか)
**由来**:鉄と火から、強気。
**例文**:鉄火。てっか。
**解説**:強気。類語に「鉄火肌」。
【やまとことば】状態・程度編
頗る(すこぶる)
**由来**:頗るから、非常に。
**解説**:非常に。類語に「甚だ」。
荒らか(あららか)
**由来**:荒らかなから、粗い。
**解説**:粗い。類語に「粗い」。
おずおず
**由来**:怖ず怖ずから、ためらい。
**例文**:おずおず。おずおず。
**解説**:ためらいながら。類語に「おずおず」。
漫ろ(そぞろ)
**由来**:漫ろから、なんとなく。
**解説**:なんとなく。類語に「そぞろ」。
幽けし・微けし(かそけし)
**由来**:幽けしから、かすか。
**例文**:幽けし。かそけし。
**解説**:かすか。類語に「かすか」。
爪の垢ほど
**由来**:爪の垢ほどから、ごくわずか。
**解説**:わずか。類語に「爪の垢」。
蚊の涙
**由来**:蚊の涙から、わずか。
**解説**:わずか。類語に「雀の涙」。
微塵もない
**由来**:微塵もないから、全くない。
**解説**:全くない。類語に「微塵も」。
転瞬倏忽の間に(てんしゅんしゅくこつのまに)
**由来**:瞬きする間にから、瞬時。
**解説**:一瞬。類語に「瞬時」。
よんどころない
**由来**:よりどころないから、やむを得ない。
**解説**:やむを得ない。類語に「仕方ない」。
雑駁(ざっぱく)
**由来**:雑で駁から、雑多。
**解説**:雑多。類語に「雑駁」。
苦み走る
**由来**:苦みが走るから、苦々しい。
**解説**:苦々しい。類語に「苦々しい」。